変形性膝関節症で膝が痛い方が、楽に歩けるようになる為にデイサービスでする運動
今回のブログは、年を重ねると誰もが経験する可能性のある膝の痛みの原因である『変形性膝関節症』のお話です。「階段の上り下りが辛い」「長時間座っていると立ち上がりにくい」など、日常生活に支障をきたすこともある変形性膝関節症。でも、ご安心ください。適切なケアと運動で、症状を和らげ、活動的な毎日を送ることができるんです。このブログでは変形性膝関節症の基礎知識から、ビーボで実施している運動プログラムなどを紹介します。ご家族様やケアマネージャーの方まで役立つ情報です。
一緒に膝の健康を守ることで、笑顔あふれる毎日を過ごしましょう!
変形性膝関節症とは
変形性膝関節症とは簡単にいうと、ひざの骨が変形して痛みが出たり、ひざが曲がらなくなったりする病気です。
定義でいうと膝関節の軟骨や半月板、靭帯などの組織に加齢や様々な要因による変性が生じ、関節の構造や機能に変化が起こる疾患です。
具体的には以下の特徴があります。
- 関節軟骨の変性・摩耗が主な病態です。
- 関節軟骨の変性に伴い、軟骨下骨の肥厚や骨棘形成などの骨の変化が生じます。
- 関節包や滑膜にも炎症や肥厚が起こります。
- これらの変化により、関節の痛みや腫脹、可動域制限、変形などの症状が現れます。
変形性膝関節症は進行性の疾患であり、早期の診断と適切な治療や運動が重要です。日常生活における膝への負担を軽減することが、症状の改善に繋がります。
変形性膝関節症の要因
変形性膝関節症の発症には、以下のような要因が関与します。
- 加齢
- 肥満
- 過度の関節負荷
- 外傷の既往
- 遺伝的素因
要因や原因として一次性のものと二次性のものがあります。一次性のものとして中年以後の肥満女性に多く、二次性のものは外傷・化膿性関節炎その他の炎症に続発します。したがって一次性のものは両側性に、二次性のもの(特に外傷)は片側性に生じる事が多い特徴があります。
変形性膝関節症の症状
疼痛は徐々に発生し、憎悪します。運動時痛・荷重痛が主でありますが、滑膜炎を起こし、関節液が貯留すると腫脹し、安静時痛もみられます。運動制限・大腿四頭筋の萎縮、しばしば膝内反変形(O脚)を伴います。内反変形の主因は脛骨近位部の変形によるもので、このため脛骨高位骨切り術が適応となります。また関節不安定性による外側方同様や、大腿四頭筋の筋力低下より片脚起立時に膝折れする前方動揺を生じます。
変形性膝関節症は通常、徐々に進行する慢性疾患です。症状は以下のように進行していきます。簡単に表すと、
- 初期:動作時の軽度な痛みや違和感
- 中期:持続的な痛みや腫脹、関節の不安定性
- 末期:高度な痛みと変形、日常生活動作の制限
変形性膝関節症のX線所見に関しては、関節裂隙の狭小化・辺縁の骨棘形成・関節面の硬化と破壊・関節鼠がみられます。正常な膝関節裂隙は5~10mm、3mm以下では関節裂隙の狭小化と評価されます。
変形性膝関節症の改善方法
改善するためにはどんな治療があるのでしょうか。大きく分けると保存的治療、観血的治療にわかれるのですが、観血的治療とは手術をして改善すること、保存的治療とは手術せずに様々な方法で改善を目指す治療です。それぞれのメリット、デメリットはありますが、デイサービスでは予防のための運動、術後リハビリを終えた方が、継続して運動して再発予防、改善を目指して機能訓練されております。
1️⃣保存的治療
- 安静
- 免荷
- 温熱・寒冷療法
- 筋肉増強訓練 四頭筋・ハムストリングス・股関節周囲筋
- バランス訓練
- 消炎鎮痛剤の投与
- 副腎皮質ホルモンや軟骨保護剤の関節内注入
- 体重減少
- 装具
運動療法の効果は1ヶ月以内に出現し、良好な結果を得ることが多いが、過度の運動で関節炎が悪化することもあるので注意する。筋力増強訓練で鍛えられる大腿四頭筋は膝関節の安定性とともに、外側への荷重分散も担っており、ふつう訓練開始後3ヶ月程で有意に筋力の増加がみられます。
2️⃣観血的治療
1年以上積極的な運動療法を行っても症状増悪あるいは不変なら観血的治療を考えます。脛骨高位骨切り術は、内反・外反変形を伴うときに変形を矯正し、荷重面を均等化する。成績は良好であるが、免荷期間が長期に及ぶため高齢者には向かない。人工膝関節は人工股間節についでよく行われ、脱臼を生じない分人工股関節よりもリスクは少ない。
ビーボに来られている変形性膝関節症の利用者様は観血的治療(人工関節等)の方もおられますが、どちらにしても筋力増強訓練や関節可動域訓練を重要視しております。例えば膝関節周囲では、膝関節伸展筋力(膝を伸ばす筋力)が低下し易く、その筋力低下によって関節への負担が増すことで痛みが生じて、さらに筋力低下が進行してしまうという悪循環にみまわれます。その悪循環を断ち切るためにも筋力増強訓練は重要になってきます。膝の変形との兼ね合いでも、内側広筋(太ももの内側)の筋力低下から始まって、筋力のバランスが崩れたあとに内反変形が生じるという報告もあり、大腿四頭筋の筋力増強は重要です。また、膝関節周辺の筋力増強以外に、股関節周りの筋力増強も重要になってきます。股関節周囲の筋は、骨盤から膝関節周囲ついているものがあって、それらの筋が膝関節の補強や安定を担っているので、股関節周囲の強化が膝関節周囲筋の強化になっています。筋力増強以外にも、関節可動域訓練も重要です。日常生活では膝の伸展制限が問題になることも多くあります。特に膝伸展制限がひどくなると、大腿四頭筋(太もも前)に過度の伸張が加わり疲れやすくなったり、怪我の原因、生活活動レベルが低下してしまいます。ビーボではこういったことも意識して機能訓練を実施しております。
変形性膝関節症の方に行っている運動
変形性膝関節症の方に実施している一部の運動を紹介していきます。基本的な動きは一緒ですが、利用者様によって変形や痛みの感じ方に違いがあるので、基本その方に合わせたフォームや回数にはなりますが参考にしていただけたらと思います。
①椅子に座って膝伸ばし
椅子に姿勢良く座って、片足ずつ膝を伸ばします。しっかり伸ばし切って余裕があれば、足の爪先をあげる動作をしてください。大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)に力が入っていることを意識する他に、ふくらはぎや膝裏が伸びていることも意識してください。
②パテラセッティング
長座で座っていただき伸ばした膝の下に丸めたタオルを入れます。膝を伸ばした状態で、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)に力を入れたり抜いたりします。タオルを地面に押し付けるように意識していきます。
③ヒップリフト
仰向けに寝て両膝を曲げ、おしりを上げたり下げたりします。つま先を内側にむけて行うことで、内側ハムストリングス(太もも裏の内側の筋肉)をより効果的に鍛えます。
④椅子やベッドからの立ち上がり(スクワット)
椅子やベッドに腰掛け、背中が丸まらないように気をつけながら、お辞儀をして立ったり座ったりします。
まとめ
変形性膝関節症によって、できなくなっていたことや制限されていた事が、筋トレやストレッチなどの運動をすることで、階段の上り下りがスムーズになったり、掃除や洗濯、料理などの家事が楽になったり、夜間痛が改善され熟睡できるようになるなど、日常生活の改善につながってきます。自宅で一人運動されている方もおられると思いますが、習慣化することはほとんどの方は難しいことではないでしょうか。そんな方には、決まった日時に家の前まで送迎してくれるデイサービスがおすすめです!週1回からでも良いと思います。継続していると週2回、3回と増えていったり、ご自宅でも運動するといった習慣ができたりと良いきっかけになります。本人様がなかなか行動できない場合はご家族の方がおすすめしてくださっても良いと思います。どんどん膝の状態が悪くなってしまう悪循環を断ち切るには行動が大事です。ビーボでは無料体験も実施しておりますので、膝が痛くて困っている方、手術してから運動することがなくなった方は是非一度来所してください!!