高次脳機能障害のことを知ることで、過ごしやすい空間をつくる
今回のブログを読んでいただければ、高齢者の高次脳機能障害と認知症の症状が同じ場合でも、リハビリやトレーニングの取り組みが変わったり、対応が変わる事を知ることができます。外傷性脳損傷や脳卒中、脳腫瘍などで脳が損傷された部位によって、いろいろな認知機能の障害が出ます。それを高次脳機能障害といいます。脳の損傷の為、見た目は健常者と変わりないことが多いのですが、できないことや、周りの方がびっくりするような行動を取ることもあります。高齢者の場合は症状から認知症と勘違いされる場合もあります。高次脳機能障害の事を知って正しい知識を得て、正しい対応を取ることで罹患されている方が安心して過ごすことができる場所を作っていきましょう。
高次脳機能障害とは
高次脳機能障害とは脳の損傷によって、引き起こされる認知機能の障害のことです。
高次脳機能障害の症状
高次脳機能障害には脳の損傷部位によって、いくつかの特徴的な症状が見られます。それらの症状と特徴をまとめてみました。
記憶障害
- 新しい情報を覚えるのが難しい
- 過去の出来事を思い出せない
注意障害
- 注意を持続するのが難しい
- 複数の作業を同時に行うのが難しい
- 重要な情報に集中できず無関係な情報に気を取られる
遂行機能障害
- 計画を立てたり問題を解決するのが難しい
- 時間やスケジュールを管理するのが難しい
- 衝動的な行動や判断をすることがある
言語障害(失語症)
- 言葉の意味が理解できない
- 複雑な指示を理解できない
- 言葉をうまく発することができない
- 正しい言葉や文法を使えない
視空間認知障害
- 物の位置関係や距離感がわからない
- 絵や地図を理解するのが難しい
- 半側空間無視(片側の視野を無視する)
社会的行動の変化
- 感情のコントロールが難しい
- 感情の起伏が激しい
- 社会的なルールやマナーを守れない
- 他人との適切な距離感を保つのが難しい
その他の認知機能障害
- 認知スピードの低下(思考や反応が遅くなる)
- 抽象的思考が難しい(複雑な概念やアイデアを理解するのが難しい)
これらの症状は、脳の損傷部位や程度によって異なります。また、複数の症状が同時に現れることもあります。
高次脳機能障害と認知症
高次脳機能障害と認知症には共通する部分と相違する部分があります。それらを理解することで、同じ症状が見られても対応の方法や取り組みが変わって行くので確認していきましょう。
高次脳機能障害と認知症の相違点
進行性と非進行性
高次脳機能障害・・・非進行性(損傷が安定すれば症状も安定。リハビリテーションによって改善する可能性あり)
認知症・・・進行性(時間とともに症状が悪化)
発生する仕組みの違い
高次脳機能障害・・・脳の特定部位が直接的な損傷を受けて
認知症・・・神経変性疾患
広範と局所
高次脳機能障害・・・脳の特定の部位に損傷が集中するため、その部位に関連する機能が特異的に障害される。
認知症・・・脳全体に広がる神経変性が特徴で特に初期段階では特定の部位に限定されていない場合がある。
高次脳機能障害と認知症の共通点
部位が同じであれば同じような症状が出る
認知症で神経変性した部位と脳卒中などにより特定部位が損傷して起因した高次脳機能障害の部位が同じであれば、同じような認知機能障害の症状が出現する。
まとめ
今回のブログでは高次脳機能障害によって様々な症状が出現し、高齢者の場合認知症と区別がつきにくいことがわかりました。
高次脳機能障害の特徴を知ることで、罹患されている方が安心して過ごしていただける環境をつくることができると思います。
ビーボでは安心して機能訓練やトレーニングができるよう環境を整えておりますので、ご家族の方が高次脳機能障害と診断されお困りの方は是非体験、見学していただければと思います。